「核兵器禁止条約」は世界を変える
NGOピースボートの共同代表である川崎哲氏は核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の国際運営委員を務めています。そのICANが昨年ノーベル平和賞を受賞しました。 核兵器禁止条約の国連での採択(7月7日、122カ国が賛成)に貢献したことが認められたのです。
川崎氏は2017年のこうした国際的な流れを踏まえて、雑誌「世界」の12月号に「核兵器禁止条約は世界を変える」という文章を寄せています。「核兵器禁止条約」が国連で採択されたことの意義と可能性です。今後50カ国が批准(それぞれの国の国会が承認)すれば、それから90日以内に発効すること。つまり、この条約によって極めて強力に核兵器を禁止し、廃絶への道筋が描かれたことが具体的に述べられています。
しかし、今までNPT(核不拡散条約)を主導してきた核武装国(米、露、仏など)やその協力国(日本など)が「核兵器禁止条約を批判し、NPTこそが核軍縮、不拡散の基本であり、主流である」と主張し「核兵器禁止条約」に対して対立的な構造を成しつつあるからです。
川崎氏は「核武装国らによる禁止条約に対する反発や非協力は当面続くだろう」と予想しつつ、重要なことは国連で採択された核兵器禁止条約への批准、発効を順調に推し進めていくことであり、日本の進むべき方向もそこにあることを指摘しています。
日本政府は被爆国としての役割を投げ捨て核保有国(米国)に追随し、条約交渉開始の国連決議の時にも反対しました。交渉会議には初日に軍縮大使が出席し「交渉に参加しない」と宣言、以降参加をボイコットしました。しかし、それは日本政府の選ぶべき選択肢ではありませんでした。
日本国民が日本政府や世界に向かって出来ることとして二つの行動課題をしめしています。一つはピースボートによる「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」(おりづるプロジェクト)を通じて、被爆者と共に核兵器禁止条約の署名・批准を世界中に訴えていくこと。もう一つは国内全自治体の9割を超す1687の自治体が平和首長会議に加盟していることを踏まえ、これらの自治体が意見書等の形で日本政府に声をあげていくことです。世界7400超の都市が参加する「平和首長会議」は昨年8月に長崎で開催した総会で、核兵器禁止条約への参加を「全加盟都市から自国の政府に働きかけていく」とするアピールを採択したそうです。今ほど国民一人一人の行動が問われている時はありません。
当実行委員会もヒバクシャ国際署名推進連絡会に参加し、署名を集めています。